平成31年の1/11に平成31年の \(1/11\) が終わる

「1/11」のうち前者は「いちがつじゅういちにち」、後者は「じゅういちぶんのいち」です。平成31年は1月1日から4月30日までの120日間(の予定)ですが、その11分の1が経過するのは(1月1日0時0分0秒からカウントして)1月11日21時49分5秒45であり、「平成31年の1月11日に平成31年の11分の1が終わる」ということになります。

この話の着想元は次のツイートです。

今年の8/13が終わったので、すなわち今年の8/13が終わったということになりますね。

このように、n月m日の間に一年のm分のnが終わる日は、一年365日のうちで8月13日のみです。(うるう年でない場合)
うるう年の場合は、4月14日と8月13日の二日のみになります。

— じょの (@jono0819) 2015年8月13日

「カレンダーの不動点」とでも呼べばいいのでしょうか。このことを確認してみましょう。

365日間ある1年間の場合

まず「元日からの経過日数 \(x\) 」を「 \(n\) 月 \(m\) 日」に変換する関数を用意します。

元日から \(x\) 日間経過したときの日付 \(n(x)\) 月 \(m(x)\) 日
\(x\) は小数でもよいものとします。床関数 \(\lfloor x \rfloor\) は \(x\) を超えない最大の整数を表します。 \[ n(x) = \begin{cases} 1 & 0≦x<31 \\ 2 & 31≦x<59 \\ 3 & 59≦x<90 \\ 4 & 90≦x<120 \\ 5 & 120≦x<151 \\ 6 & 151≦x<181 \\ 7 & 181≦x<212 \\ 8 & 212≦x<243 \\ 9 & 243≦x<273 \\ 10 & 273≦x<304 \\ 11 & 304≦x<334 \\ 12 & 334≦x<365 \\ \end{cases}, \ m(x) = \begin{cases} \lfloor x-0 \rfloor +1 & 0≦x<31 \\ \lfloor x-31 \rfloor +1 & 31≦x<59 \\ \lfloor x-59 \rfloor +1 & 59≦x<90 \\ \lfloor x-90 \rfloor +1 & 90≦x<120 \\ \lfloor x-120 \rfloor +1 & 120≦x<151 \\ \lfloor x-151 \rfloor +1 & 151≦x<181 \\ \lfloor x-181 \rfloor +1 & 181≦x<212 \\ \lfloor x-212 \rfloor +1 & 212≦x<243 \\ \lfloor x-243 \rfloor +1 & 243≦x<273 \\ \lfloor x-273 \rfloor +1 & 273≦x<304 \\ \lfloor x-304 \rfloor +1 & 304≦x<334 \\ \lfloor x-334 \rfloor +1 & 334≦x<365 \\ \end{cases} \]

この関数を用いると、 \(n(x)≦m(x)\) のとき、 \(365\) 日間の \(\frac{n(x)}{m(x)}\) が経過する日付は、次のように書けます。 \[ n\left(\frac{365n(x)}{m(x)}\right) 月\ m\left(\frac{365n(x)}{m(x)}\right) 日 \] これが \(n(x)月\ m(x)日\) と一致する日を求めたいので、要するに方程式 \[ x=\frac{365n(x)}{m(x)} \] を解けば良いことになります。右辺を \(f(x)\) とおけば、関数 \(f(x)=\frac{365n(x)}{m(x)}\) の不動点を求めるとも言えます。

\(y=f(x)\) のグラフを描いてみますと、次のような形になりました(赤色の離散的なグラフ)。恒等写像 \(y=x\) (青色)も同時に表示しています。

8月13日(\(\lfloor x \rfloor = 224\))に2つのグラフの交点があることが分かります。365日の \(\frac{8}{13}\) が経過するのは8月13日14時46分9秒23です。また、実は2つのグラフは3月15日(\(\lfloor x \rfloor = 73\))でも接しており、3月15日0時0分0秒に365日の \(\frac{3}{15}(=\frac{1}{5}=73日)\) が経過します。なお、1月19日*1、2月16日*2、4月14日*3あたりも接近して見えますが、これらはギリギリ重なりません。

うるう年の場合

2月の日数が異なるのを調整して、あとは同様に計算しますと、次のようなグラフが得られます。

365日の場合と微妙に異なるグラフになっています。366日間の \(\frac{4}{14}\) が経過するのが4月14日13時42分51秒43、 \(\frac{8}{13}\) が経過するのが8月13日5時32分18秒46となっており、不動点が2つあります。接近しているように見える、1月19日*4、2月16日*5、3月15日*6ではやはり重なっていません。

2019年の場合

以上は一般的な1年間の場合でしたが、2019年は改元というイベントがあるために、元号で表記した年の長さが365日ではありません。平成31年は4月30日までの120日間、新元号元年は5月1日から始まる245日間です(平成31年=新元号元年=2019年としていずれも365日間を指す、とする流儀もありますが)。

平成31年の \(n(x)月m(x)日\) に平成31年(120日間)の \(\frac{n(x)}{m(x)}\) が経過するための条件式は \[ x=\frac{120n(x)}{m(x)} \] であり、新元号元年の \(n(x)月m(x)日\) に新元号元年(245日間)の \(\frac{n(x)}{m(x)}\) が経過するための条件式は \[ x=120+\frac{245n(x)}{m(x)} \] となります。 \[ f(x) = \begin{cases} \frac{120n(x)}{m(x)} & 0≦x<120 \\ 120+\frac{245n(x)}{m(x)} & 120≦x< 365 \\ \end{cases} \]のグラフを描いてみると、次のようになりました。

平成31年では、1月11日21時49分5秒45に平成31年の \(\frac{1}{11}\) が経過し、平成のあいだの不動点はこれが最後となります。新元号になってからは、6月26日12時55分23秒08に新元号元年の \(\frac{6}{26}\) が経過、7月21日16時ちょうどに \(\frac{7}{21}\) 、12月13日3時41分32秒31に \(\frac{12}{13}\) が経過することになります。8月18日*7と9月16日*8が惜しいですが、それでも4つも不動点があるのはなかなかワクワクしますね。

まとめ

以上を整理すると次のようになります。

カレンダーの不動点(通常の1年間)
n/m(n月m日)のうちに1年のn/m(m分のn)が経過する日は、1年365日間のうち
  • 3/15 (0時ちょうどに1年の \(3/15\) が終わる)
  • 8/13 (14時46分9秒23に1年の \(8/13\) が終わる)
の2日。
うるう年の場合は、1年366日間のうち
  • 4/14 (13時42分51秒43に1年の \(4/14\) が終わる)
  • 8/13 (5時32分18秒46に1年の \(8/13\) が終わる)
の2日。

2019年に限っては、次のような不動点も持ちます。

カレンダーの不動点(2019年限定)
n月m日のうちに「平成31年」のm分のnが経過する日は、120日間のうち
  • 1/11 (21時49分5秒45に平成31年の \(1/11\) が終わる)
の1日のみ。
n月m日のうちに「新元号元年」のm分のnが経過する日は、245日間のうち
  • 6/26 (12時55分23秒08に新元号元年の \(6/26\) が終わる)
  • 7/21 (16時ちょうどに新元号元年の \(7/21\) が終わる)
  • 12/13 (3時41分32秒31に新元号元年の \(12/13\) が終わる)
の3日ある。

これらの日にはぜひ不動をお祝いしたいものですね(?)。